グリーンサイエンス
グリーンサイエンス
環境保護と透明性への駆動力
化粧品に含まれるシリコーン、生分解性の低いポリマー、UVフィルター、染毛剤、鉱物油などの石油由来成分。これらの成分は、手触りや色の多色展開などの技術的な性能を実現するためにしようされています。このような石油由来成分はロレアル製品の処方成分の26%を占めていますが、私たちは製品の性能を向上させるような機能的でグリーンな代替品を見つけたいと考えています。将来いくつかの重要な規制によって使用が禁止されるという可能性についても考慮しなければなりません。しかしながら、これは技術的にも製造面にも大きな課題があります。
ロレアルではグリーンサイエンスを、環境科学、農学、バイオテクノロジーなど、ここ数年の間に大きな進歩を遂げた科学分野を包括する概念ととらえています。再生可能な原材料を使用し、生物の力を利用して、有効成分、環境に配慮した高機能素材の生産を可能にする科学の総体です。
グリーンサイエンスが秘めている力は、我々の製品ポートフォリオを持続可能で科学的に安全な ー そして消費者の皆様に安全と納得いただける ー 原料と他の追随を許さない性能を持つ処方へステップアップすることを可能にします。
ロレアルの挑戦
ロレアルは2030年までに、製品に使用する成分の95%を再生可能な植物由来、あるいは豊富に存在する鉱物を原料としたものにすることを目的としています。また製品処方の100%は水生環境に配慮したものにすることを目指しています。
グリーンサイエンスは、「自然を尊重することが、石油化学製品の代替として再生可能な原料を生み出す原動力である」という理念のもと、持続可能なハイテク技術を駆使して、天然資源を持続的に生産し、自然が提供するすぐれた成分を抽出することによって、石油化学由来成分の再生可能な代替物を創製することを可能にしていきます。このアプローチは、品質や安全性に妥協することなく、他の追随を許さない性能を発揮し、独自の化粧品効果を発見することを可能にするはずです。
ロレアルのコミットメント
これらの技術的・科学的課題に対応するために、農学と栽培技術に関する最新のイノベーション、バイオテクノロジーやグリーンケミストリーだけでなく、処方開発や、これらの先進技術を実行するためのデジタルモデリングツールなど、グリーンサイエンスのリソースを総動員していきたいと考えています。
ロレアルの研究部門であるリサーチ&イノベーションは、持続性のイノベーションにかかわる25年以上の経験から得られた、グリーンケミストリー、バイオロジーとバイオテクノロジーなどの専門知識を活用し、大学、バイオベンチャー、原料サプライヤーなどとの戦略的パートナーシップを通じて、将来に向けた新規原料、成分や処方の開発を行っています。
まずは過渡的なステップとして、伝統的な石油化学由来の成分とグリーンサイエンスから得られる成分を一つの処方内で組み合わせるハイブリッド製品から始め、高性能な再生可能資源の恩恵をすべての化粧品カテゴリーが受けられるようになるまで、段階的にロレアルのすべてのブランドの製品について変革を行っていきます。
変革の柱として
グリーン栽培と持続可能な調達
再生可能で持続可能な原材料を求めて
すべての製品の設計・開発プロセスは、自然界にある資源の探索から始まります。植物、鉱物、微生物など、自然界に存在する成分は私たちが必要とする原材料を生み出す重要な天然資源です。
グリーン栽培は、人口動態の変化と都市化が進行する中で、植物由来の原材料の生産に必要とされる高性能で環境に優しく、持続可能なソリューションを提供する農業プロセスです。これらのプロセスは、気候変動や生物多様性の損失に対応するための環境的制約(限られた水資源の有効利用、農地とエネルギーの最適利用、廃棄物生産の削減)を考慮して、環境への影響を低減することを目的としています。
グリーントランスフォーメーション
バイオテクノロジー
この用語は、製品の成分へ適用されるライフサイエンス技術のすべてを指します。 再生可能な資源の産生や、発酵などの生物的プロセスを使って自然由来の原料を生産するための、環境に優しい技術を提供しています。また、新しい原料の性能を研究するための技術でもあります。
合成生物学
生物学と工学の原理を組み合わせた新しい科学分野です。その目的は、微生物(バクテリアや酵母)の生物学的機能を改変し、最適化することで、高性能な成分を生産する能力を発揮させることにあります。「工場としての細胞」というアプローチでは、微生物を生産ユニットとして活用し、遺伝子最適化の手法で細胞の活性化を促し、目的の物質を競争力のある価格で生産することを目指しています。
グリーン抽出(抽出)
グリーン抽出、またはエコ抽出は、エネルギー消費が少なく、環境への影響が最小限の溶媒(水、天然の溶媒、バイオテクノロジーによって得られた自然由来の溶媒など)を使用することにより、原料の抽出を最適化するプロセスです。
グリーンケミストリー
1990年代後半に確立されたグリーンケミストリーという概念は、化学合成プロセスの環境への影響を最小限に抑えるための条件を規定した12の原則に基づいています。これらの原則は化合物の合成を、廃棄物を削減しながら、再生可能な植物由来の原料を使用し、最小限の反応数で、溶媒やエネルギーの使用の低減を確実にするために重要なものです。
グリーンフォーミュレーション
自然成分や自然由来成分を用いた高機能処方の開発のことです。
フォーミュレーションは、組み合わせの科学です。成分を組み合わせることによって、製品特有の技術的性能と感覚的体験を消費者に提供できる製品を作ることを目指しています。グリーンフォーミュレーションはグリーン栽培やグリーントランスフォーメーションに由来する天然成分や天然由来の成分を使用することが、基本となります。新規な処方は、性能の向上と新たな感覚的体験を実現できるように設計されます。