ロレアルグループ、皮膚の健康へのアクセス向上を目指す2,000万ユーロ規模のプログラム「ACT FOR DERMATOLOGY」を開始
世界中で皮膚疾患を抱える数十億人の人々を支援するため、
知識、教育、アドボカシー、ベストプラクティスの提供を通じて戦略的パートナーと連携
世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)は、現地時間3月13日、ダーマトロジカルビューティ事業本部が主導する5年間で2,000万ユーロ規模のプログラム「ロレアル・アクト・フォー・ダーマトロジー(L’Oréal Act for Dermatology)」を発表しました。世界で21億人1に上る皮膚疾患を抱える人々を支援し、より多くの方に皮膚の健康にアクセスできるようにすることを目指すものです。本プログラムの一環として、当社はWHO財団と提携し、世界保健機関(WHO)による一般的な皮膚疾患や、主に熱帯の貧困地域を中心に多くの人をリスクにさらしている感染症による皮膚疾患への対策を支援するとともに、皮膚疾患が世界的に与える影響への意識向上に貢献していきます。
ロレアル ダーマトロジカルビューティ事業本部のプレジデントであるミリアム・コーエン=ウェルグリンは次のように述べています;
「『ロレアル・アクト・フォー・ダーマトロジー』は、皮膚疾患による身体的、精神的、そして感情的な負担に苦しむ数十億の人々の生活の向上を支援することへの私たちの揺るぎないコミットメントを表しています。こうした人々が直面する、皮膚疾患のケアへのアクセスにおける課題解決に取り組んでいきます。ダーマコスメのリーダーとして、私たちには行動を起こす責任があると考えています。皮膚科医や医療従事者、科学団体、そしてWHOのような国際機関と緊密に協力することで、あらゆる地域社会が置き去りにされることなく、誰もが、どこにいても皮膚の健康にアクセスできる世界の実現という壮大なミッションに着手できます」
皮膚科砂漠:深刻化する危機
国際皮膚科学会連盟(ILDS)と提携し、ロレアル ダーマトロジカルビューティ事業本部(LDB)が初めて実施した194カ国を対象とする調査2「グローバル・アクセス・トゥー・スキンヘルス・オブザーバトリー」の予備調査結果からは、驚くべき実態が明らかになっています。世界の3分の1以上の国で人口10万人あたりの皮膚科医数が1人以下であり、これは少なくとも35億人が皮膚の健康に関するサービスへのアクセスが極めて限られた地域で生活していることを意味します。この調査は、皮膚科医の世界的な分布状況、各国における皮膚科医療へのアクセスの障壁、そしていわゆる「皮膚科砂漠」における”代替的”な皮膚の健康を維持するためのサービス提供者へのアクセス状況を調査するために、2024年10月に開始されました。現在も調査は継続中で、正式な調査結果は2025年に発表される予定です。
「私たちは、特に皮膚疾患を抱える人々にとって、医療へのアクセスにおける危機に直面しています。皮膚疾患を専門とする皮膚科医や最前線の医療従事者の不足は、「皮膚科砂漠」を生み出し、何百万人もの人々が皮膚疾患の診断や治療を受けられない状況に陥っています。この状況は深刻な、場合によっては生命を脅かす結果につながる可能性があります。私たちは、最前線の医療従事者の能力強化と装備、公的政策課題として皮膚の健康を優先するための政府との協力、そして地域に根ざしたベストプラクティスの世界的な普及を推進するという喫緊の課題に直面しています」
5年間で2,000万ユーロ規模の「ロレアル・アクト・フォー・ダーマトロジー」基金は、皮膚の健康へのアクセス格差を解消するために設計された4つの主たる分野への投資に基づいて構成されています。
- 知見の開拓: 皮膚の健康へのアクセスにおける主な障壁、色素の濃い皮膚に関する知識格差、気候変動の影響、そして皮膚病に関連する差別や偏見の深刻な影響など、皮膚の健康に関する理解を深めるための最先端の研究に投資します。
- 意識向上: 官民両セクターを巻き込み、皮膚の健康を公衆衛生の議論の最前線に押し上げ、NGOと協力して有意義な政策変更を推進します。
- 教育の強化: 世界中の医療従事者が皮膚疾患を診断・治療できるようにするための研修に投資し、低・中所得国が科学出版物にオープンアクセスできるように200万ユーロを投資します。これにより、最も必要としている人々に知識が届き、皮膚科医が重要な研究にアクセスまたは発表するための経済的支援を提供します。
- ソリューションの拡大: 地域に適したベスト・イン・クラスのソリューションを迅速に拡大することで、皮膚の診断と治療へのアクセスを拡大するための「熱帯地域の皮膚疾患」に投資します。このようなソリューションには、ロレアルとILDSが2011年に開始した「International Awards for Social Responsibility in Dermatology(皮膚科における社会的責任のための国際賞)」から生まれた影響力の高い受賞プロジェクトの展開が含まれます。この賞は、世界中の優れた皮膚科医を表彰する道を切り開きました。
LDBとWHO財団の画期的なパートナーシップにより、初めて、ニキビ、アトピー性皮膚炎、乾癬、白斑などの一般的な皮膚疾患に加え、顧みられない熱帯地域の皮膚疾患を含む皮膚の健康に関する世界的なサーベイランスが可能になります。これにより、WHOがこれらの重要な健康課題を監視し、対策に取り組む能力が大幅に強化されます。このパートナーシップは、皮膚の健康が世界の健康課題として認識されつつある重要な時期に締結されたもので、第78回世界保健総会(2025年5月)では、皮膚疾患を世界の公衆衛生上の優先課題とする決議が議論される予定です。
WHO財団CEOのアニル・ソニ氏は次のように述べています;
「WHO財団は、資金提供者と影響力の高い健康イニシアチブを結びつけ、世界保健機関のミッションを支援しています。これは、健康分野で資金不足の分野に取り組む素晴らしい共同プロジェクトです。訓練を受けた専門家の不足は、世界中の人々が経験する負担を増大させており、このプロジェクトは、皮膚科研修、医療従事者の教育、意識向上などを通じて、この問題の解決を目指しています。私は、このイニシアチブが、専門知識と情熱をこのパートナーシップにもたらすWHO財団とロレアルの関係を強化することを特に嬉しく思っています」
1 The Lancet Global Health Metrics Volume 392, Issue 10159 p1789-1858 November 10, 2018.
2 Complete results to be published in second half 2025.
3 The International Foundation for Dermatology (IFD) was created in 1987 by the ILDS to improve skin health in areas of low resource.
ロレアルについて
ロレアルは115年にわたり美容・化粧品業界のリーダーとして、世界の消費者の美への希求とニーズに応えることに専念してきました。当社のパーパス「世界をつき動かす美の創造」は、社会に対しても、環境に対しても、サステナブル、インクルーシブ、倫理的かつ寛大な形で美を通じて貢献してゆくという私たちの美への姿勢を包括的に表現するものです。37の国際ブランドを初めとする多様で幅広いブランドポートフォリオと、持続的発展と環境を守るための取り組みである「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」プログラムを通じ、美の無限の多様性を賛美し、世界のすべての人々に最高水準の品質、有効性、安全性、誠実さ、責任をお届けします。当社は、9万人を超える従業員を擁し、地理的にもバランスの取れた拠点展開と、すべての流通網(eコマース、マスマーケット、百貨店、薬局、美容室、ブランドおよび旅行小売)における販路を有しています。2024年のグループ売上高は434億8千万ユーロにのぼります。世界13ヵ国に21の研究開発拠点を置き、4,000人以上の科学者と8,000人を超えるデジタル人財を擁するロレアルは、美の未来を創造し、ビューティーテクノロジーを推進してゆくことを重要視しています。詳細については、https://www.loreal.com/en/mediaroomをご参照ください。
国際皮膚科学会連盟(ILDS)は、104カ国、217の加盟団体を擁し、世界中で21万5千人以上の皮膚科医を代表する組織です。世界保健機関(WHO)との「公式関係」を有しており、皮膚科医療を最高水準で代表しています。ILDSは、皮膚の健康の重要性を訴え、それが世界の保健政策に確実に含まれるよう尽力しています。また、質の高い教育、臨床ケア、研究、そしてイノベーションを促進するため、世界の皮膚科医療コミュニティにおける意識向上、協力、情報伝達を促進することで、世界規模で皮膚の健康を向上させることを目指しています。 詳細は、https://www.ilds.org をご覧ください。
WHO財団は、世界中の健康の公平性を向上させるために活動する独立したグローバル組織です。財団は、持続的な変化を生み出すため、寄付者と保健医療の課題に最前線で取り組む人々をつないでいます。「すべての人に健康を提供し、促進し、保護する」というWHOの使命を推進するため、民間からの支援を促し、強力なパートナーシップを構築することを目指しています。詳細については、https://who.foundation をご覧ください。